1/2の神話 /中森明菜

なんか、書き進めるうちに気合いが入ってえらい長くなったので、これだけでエントリにしちゃう。

 ……私はよくこんな感じで思い入れたっぷりに書いちゃうけど、音楽理論のこととかそういうところは全然知りませんので。楽器も弾けないし。そのあたりは差し引いて読んでおくれよ。(^^;

突然食いたくなったものリスト:


本日のBGM:
1/2の神話 /中森明菜


昔、ここで「中森明菜と松田聖子は今でも『歌手』の肩書きで勝負しているのが凄い(女優とかタレントではなく)、というような話を書いたことがあったねえ。
 
 
この曲は「少女A」のブレイク以来続くツッパリ路線の典型的な1曲。
 
彼女はデビュー当時は非常にありがちなカワイコちゃん路線で、「ちょっとエッチなミルキーっ子」という、ニンともカンともなキャッチコピーだったけども、それでもデビュー当時の宣材には既に「目標!山口百恵」の文字があった。
 
とはいえ当時のアイドルは多くが山口百恵を「目標」として公言していて、聞いてる方も高校球児の「王さんみたいになりたいです」程度にしか真に受けてなかった。ほとんどのモモエワナビーさんたちは、言ってる本人も本気ではなかったはずだ。
 
しかしその中から自薦ではなく他薦としても「ポスト山口百恵」と言われる人が出てきた。その1人が三原順子。もう1人が中森明菜。先にデビューした三原順子は期待は大きかったものの結局モノにならず(2005/01/05のエントリで書いたとおり、私はとても残念に思っている)、その後出てきた中森明菜にすぐに取って代わられた。
 
この2人がどうして「ポスト山口百恵」と言われたか。
 
一口に「山口百恵」といっても、当然彼女にもいろんな要素があったわけだからそれこそ様々な「ポスト山口百恵」像があり得たはずだ。しかし結局、当時語られた「ポスト山口百恵」に含まれた意味は「(山口百恵同様に)影と迫力のある少女」だったように思う。歌唱力だけであれば三原順子はまだそう語られるレベルではなかったし(というか、正直言って私は山口百恵がそれほど歌がうまかったとは思わない)、この2人に目立って共通するのはまさに「影」と「迫力」だった(当時「ツッパリ」は影や迫力あらわす手っ取り早い記号だったとも言えるね)。
 
「影」「迫力」をもった2人のうち中森明菜が圧勝した理由は、まあそりゃいろんな要素があるだろうけど、ベースになったのはその「影」や「迫力」の奥深さだったように思う。
 
中森明菜は若さ(そして同世代のアイドルたち)に不釣り合いな歌唱力に加えて、その根底にある「絶対に歌手になる、歌い続ける」ことへの情熱(というか、情念(^^; )が、迫力を凄みにまで高めていたように思う。中森明菜はオーディション番組「スター誕生」の出身だけども、それまでにオーディション番組に応募しまくって落ちまくっていた。それでも絶対に歌手になるという気迫と気負いが、年齢にそぐわない「影」の色を濃くしていた。
 
一方、子役から出発した三原順子のブレイクは金八先生への出演をきっかけに「思いもかけず」起こってしまったものだった。歌も、人気が出た後に歌うようになった。三原順子は「ポスト山口百恵」になんてなりたいと思ったことはないんじゃないかな。どうしてもなりたくてなりたくてなりたくて、やっと歌手という地位をつかみ取った中森明菜とは心構えが根底から違っていたのだ。「ケンちゃん」とのスキャンダルや後のレーサーへの道草などの軸足のぶれ方は、子役以来の「芸能人」という位置づけが本業で、歌手はその一部分に過ぎませんという意識の現れだったように思う。銀蠅一家に接近したかと思えばHM路線に手を出したりもしたり(デビュー曲が長戸大幸の曲だしね)、歌手としての一貫性というよりは、周囲が期待している「三原順子像」を追っているだけに見えた。つまり、三原順子の迫力には根が生えてなかったと。
 
三原順子の「影」は役柄から周囲が期待した影であって、明菜が内側から湧き出る影。(^^;; これが2人の大きな違いだったんだと思う。
 
 
で、中森明菜「1/2の神話」の話。
 
「スローモーション」「少女A」「セカンド・ラブ」「1/2の神話」「トワイライト ~夕暮れ便り~」「禁区」と、しっとりとしたスロー曲とアップテンポの曲を交互にリリースして迫力と歌唱力を十分に見せてくれた彼女の、「少女A」に続く2曲目の「アップテンポ」曲がこの曲。
 
この曲のピークはいきなりやってくる。
 
歌入りすぐの「♪秘密だと念を押され あなたに頷けば」という部分。
 
「♪ひみつだと念を押され」ではなく、「♪ヒみつだとネを押され」と発音されている。
 
この迫力を聴いてほしい。17才の「」。(^O^)
 
この「ヒみつ」の「ン」が歌われた瞬間、この人は自他共に認める『ポスト山口百恵』になった。三原順子も軽く吹っ飛んだ。こんな歌い方のできるアイドルなんて、どこにもいなかったのだ。
 
いや、1人だけ、中森明菜に匹敵する歌唱力を持つアイドルがいるにはいた。それが言わずと知れた松田聖子。ただし聖子には悲しいかな?「影」がなかった。(^^;;; 聖子もまた歌手になりたくてなりたくてなりたくて、「舌っ足らずの歌い方が致命的」と言われれば舌の下にあるあのべろーんとした部分をハサミで切っちゃうほどの傑物だったわけで、それ相応の迫力と実力を間違いなく持っていたのだけど、聖子の場合、それは「影」の方に向かなかった。……まあとにかく、「影」という話をすれば、この80年代の2大アイドルは聖子が陽、明菜が陰を体現したのだ。それはその後の生き方をも象徴しているのかもしれない。
 
……かくして中森明菜はデビュー当初からの目標通り「ポスト山口百恵」になった。それが彼女にとって幸せだったかどうかはわからん。
 
しかし私たちが、17才の歌手志望の少女が本当に「ポスト山口百恵」となったその瞬間に今でも立ち会うことができるのは、きっと幸せなことなんじゃないかなぁ、とか思ったりなんかするわけだわ、これが。
 
この曲には他にも「オットナのヲまねッエー」「それで もまダ わたシ悪くゆっウンのォ~」部分など、「明菜節」を堪能できる聞き所はたくさん。楽しめる曲だ。

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コメント(3)

くわっち :

もうちょい読みやすいフォントと色にしておくれ(´・ω・`)

管理人 :

これでどうかいな?

くわっち :

サンクス。
最初のは新手の嫌がらせかと思ったよ^^;

中森明菜の『影』はよく分かる。
『影』というとなんか可愛そうなので『翳り』としようぜ。

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このページは、hietaroが2007年2月13日 00:33に書いたブログ記事です。

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