つけめんTETSU@京都拉麺小路

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 一時のブームが去って今や関西ではほとんど見かけなくなってしまったラーメンコンプレックス(「Screams From The Grave」)だが、そんな中、孤軍奮闘している京都駅ビル10階の京都拉麺小路。今回初めて行ってみたのだがこれがそれなりに盛況でなかなか感慨深かった。

 つけめんTETSUは2009/11/17に京都拉麺小路に登場したばかりの東京のつけ麺専門店。パンフレットにも「東京のつけめん界を牽引する」と謳われている通り、濃厚豚骨魚介&自家製太麺という現在の「つけ麺ブーム」の典型的なフォーメーションとなっている。確かに私も名前くらいは聞いたことがあるし、ネットだと「西の六厘舎、東のつけめんTESTU」など並び称す表現すら見かけたから、このキャッチフレーズも格闘技の煽り文句よりは真実に近いのだろう。(まぁ「西のVAN HALEN、東のRIOT」「東のキャロル、西のファニカン」の例もあるけどね。(^^;)


店構え@つけめんTETSU 京都拉麺小路店

 ラーメンコンプレックスらしく、食べ歩きができるように「ミニ」というメニューがあったのでそれを頼んだ。

 ミニで600円とはなかなかアレではあるけれども(徳島ラーメン東大のミニは350円)、まあこんなもんだといわれれば「う、うん......」と納得してしまうくらいの絶妙&微妙な値段設定。

 写真を見ると、800円の普通のやつと違うのは麺の量と、つけ汁にナルトが入ってないところくらいかな。

 通常のつけ麺店と違って、この店では「あつもり」をそれなりに推している。釜揚げうどんのような形でお湯に麺を浸した形で出している。ただ釜揚げうどんと違い、茹で湯ではなく出汁に浸している。加水率高めの麺を固めに茹でてあるのでこれで伸びてしまうような懸念はさほどないように思うけども、私自身は温い麺をつけ麺で食うのは馴染めないので普通のひやもりにする。
#つけ麺を食べ慣れていない人3人と一緒に行ったが、私以外の3人はみんな「あつもり」を選んだ。意外ではあったが、世間とはそういうものなのかもしれない。


ミニつけ麺(ひやもり)(¥600)+味玉@つけめんTETSU

 具はネギ、メンマ、チャーシュー、煮玉子丸1個(オプション\100)。麺の上にカイワレ大根。
 麺は極太ちぢれ麺。
 つけ汁は濃厚豚骨魚介。魚粉を浮かせてあって、それを混ぜる。六厘舎のように海苔の上に載っけてるのではなく、つけ汁の上に直接盛ってある。





つけ汁

 なるほど、典型だ。
 少しケモノ臭の残る豚骨、あからさまに香りを主張する魚粉、この濃厚さと甘さ......。
 チャーシューは脂身の多い、トロトロしたもの。
 そして麺は太めでややゴワつきまで残した固めの茹であげ。
 いやぁ、ジャンキィ。

 何というのだろうか。

 非常に東京らしいつけ麺だなあと思う。
 いやまあつけ麺そのものが東京起源だけども。

 にしても、東京らしい。
 特に、このゴワつき太麺。


 こういうジャンキィさに走ってもかえってそれがウケるというのは、市場の大きさがあってこそだ。
 もう、「端正さ」とか「全体のバランス」とか「カッコよさ」なんてのを通り越して、「エグさ」こそを追求しているイタリア車のデザインみたいだ。(^O^)

 二郎系もそうだけど、中途半端なものではなく「開き直り」というか「先鋭化」というか、行くところまで行ってしまうことで少数ではあっても熱烈な支持を受けることができるわけで、その支持の高さがまた多数に広がっていく要素にもなる。

 このゴワついた麺は、おそらくこれからも関西では大きくは受け入れられないと思う。ここ数年の関西のつけ麺ブームの中でも、つけ汁や具はかなり関東から流入してきたし、「絶対量」だけでいえば濃厚豚骨魚介は関西でもつけ麺の多数派になっていると思う。
 が、このゴワつき太麺だけはなかなか入ってこない。
 あまりに文化が違うのだ。

 大阪大勝軒の麺なんかは象徴的だ。
 名前の通りここは東池袋の山岸氏の下で修業して暖簾分けされた店だけども、現在大阪大勝軒東池袋大勝軒とは随分違う味になってしまっている。
 メニューの名称が「もりそば」ではなく「つけめん」になっているというような細かい話は別として、一番違うのは麺。
 庄司氏の麺野郎的な麺を標榜していると思わせる、ツルツルとしてしなやかなうどん的な麺になっている。
 正直、私はこの麺はこのつけ汁に全然合わないと思うけども、それはそれとして、自分が修業した東池袋大勝軒の麺からこの麺に変えたところが、大阪(あるいは関西)の独自の麺文化を象徴しているように思える。
⇒「大阪大勝軒 神山@北区

 麺だけでいえば、おそらくこういう方向性が関西人の好みなのだ。
 こういう文化の中で、このゴワつき麺はきっと受け入れられないだろうというのが私の予想(一時的にブームになっても)。

#最近関西にも増えてきた「二郎系」にはゴワつき太平麺が使われており、それなりに支持もされている。だから絶対に無理というわけではないとは思うが、「二郎系」は今のところ関西では座敷牢状態(^^;で、やはり「これは別物」という意識がある。(^O^) ......これもバランスの勝利だよね。

 例えば『最新ラーメンの本 関西版』(2010年版)で石山勇人氏が、

「いま関東の人気煮干ラーメン店は、煮干特有のえぐみと苦みを出して、それを売りにしてます。和食のセオリーは関係ないんです。よくもわるくもラーメンですから」

 と書いているが、まさにそれがラーメン的でもあり、関東的な点でもある。何でも「個性」「ウリ」にしていけるのがラーメン的な点であり、その個性がハマるなら少数(ほんとは多数)の熱烈な支持者を獲得できるのが関東的な点。
 「少数(ほんとは多数)」と書いたのは、全体から見て「少数」の割合ではあるけれど関東は市場がデカいので絶対量としてはそれなりの量になるということ。だから店はその熱烈な支持者を相手にしてるだけでも食べていける。つまり関東のラーメン市場にはそういう店の存在を許す余裕があるわけだ。(そこから支持が多数に広がるかは店次第としても)

 しかしこの余裕は現在、関西以下、日本の他のどの地域にもないのよ。

 だから難しいだろうなあと。このタイプのつけ麺はきっと関西では数店舗レベルのかなり局地的な普及にしかならないだろう。

 ......ただ、ではより(関西人にとって)「うまい麺」を使った関西のつけ麺の方がこういうつけ麺に比べて(関西人にとって)うまいのかというと、さて、と考えてしまう。

 この麺はこのジャンキィなつけ汁には非常によく合う。(^O^)
 バランスという意味でつけめんTETSUのつけ麺は非常によく、とてもおいしかった。このゴワつき麺はこのつけ汁があることで存在意義をちゃんと確保している。
 その意味では「完成されている」という言い方もできるし、バランスも個性も確立している。

 それに比べて「関西人の好みの麺」と書いたツルツルのうどん的な麺、これを上手に使った「バランスが非常にいいつけ麺」を、残念ながら私は未だに食べたことがない。
 この種の麺の魅力を十分に引き出すようなつけ汁が、まだ登場していないと思うのだ。

 と考えると、このゴワつき麺を「関西ではダメ」と言ってしまうのは単なる傲慢なのかもしれない、とか思ったり。
 だって、「このよりずっといいが関西にはゴマンとあるし、それが関西人の好みだ」と言ったところで、このつけ麺に対する対抗には全くならないもの。そうするためには「このつけ麺よりずっといいつけ麺が関西にはゴマンとある」と言わなくちゃいけないんだけども......これは実はまだなかなか難しいんではないかと。

 なんというかなぁ。
 私はここのつけ麺を食べて、「関東、大したことないなあ」というのと「やっぱり大したもんだ」というのを一緒に味わった。六厘舎でも同じことを感じるだろう。とても複雑な気分だ。

 この店には焼き石を投入することでつけ汁を再加熱するサービスがある。これはなかなか面白く、しかも思いの外熱々になって驚いた。なかなか楽しい。(^O^)


焼き石


熱膨張ねっ♪

 楽しいってことはとてもいいことだ。旨さにも関わる。ただこれは新鮮さであって、関西にもこれを取り入れる店がちょこちょこ出てきた今では目新しさがなくなる日も近そう。

突然食いたくなったものリスト:

  • チョコパイ

本日のBGM:
ネグレスコホテル /BORO






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