お好み焼きの本(1)

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 先日、「Show Me The Way(大幅加筆)」というエントリでご紹介した『開業法・味づくり・経営のラーメンQ&Aブック―有名店主が答える』(旭屋出版MOOK)という本に引き続いて......というわけではないのだけれど、図書館で見かけたので今度は『お好み焼 たこ焼 いか焼 鉄板焼 最新技術教本』(森久保成正著 2001年)を借りてきた。





 『ラーメンQ&Aブック』と同じく旭屋出版MOOK。
 どうやら現在は絶版になっている模様だが、同社から現在も発売されている『お好み焼・たこ焼・いか焼・鉄板焼の教科書―売れる調理技術と成功する開店法』(2007)という本が、目次から見てもこの本をリニューアルしたほぼ同内容のもののようだ(焼うどんが追加されてる程度?)。

 題名どおり、「お好み焼 たこ焼 いか焼 鉄板焼」屋さんの技術教本。本の8割ほどを使ってそれぞれのメニューの作り方を写真入りで紹介し、後半2割で「成功開業法」「繁盛営業法」を披露する。
 著者はお好み焼きチェーン「千房」の専務取締役を経て独立。現在は飲食店の経営コンサルタントをしているそうだ。

 楽しそうに見えたんだよ。

 しかし残念ながら個人的にはガッカリ感の強い本だった。もちろん細かいところでは役に立ったことも多々あったけどね。

 これは、私がこの本の想定読者(お好み焼屋、たこ焼屋の開店予定者)ではないからかもしれない......と思ったりもするが、正直に言えば、もし私が想定読者ならむしろもっとガッカリしたんじゃないかと思う。

 この本に感じるいやらしさは、書名に「技術教本」(あるいは「教科書」)を謳っておきながら、一般的に知られている程度の作り方をなぞるだけで技術の詳細な説明があまりないことと、この本そのものが著者の本業(経営コンサルタント)の販促本という位置付けに過ぎないことだ。

 人それぞれ、こういう本に求めるものは違うだろうから一概には言えないけれど、書名どおりの中身を期待すれば、私のように見事に外される人もいると思う。

 Amazonの、

バザーのだしもの の時の参考になる程度。 でもそんなことのために わざわざ本を買うこともない(笑)

 というレビューは、まあ悪意も入ってる(^O^)にしても、気持ちはわかる気がする。

 本書の「序章」にあたる文章の中に、

 豚玉、いか玉はお好み焼の基本です。必ず注文される商品です。この基本商品で、その店のおいしさのレベルが伝わります。そして、この基本商品の実力によってお客の足を店に何度も運ばせるかどうかの勝負が決まると言っても過言ではないでしょう。新商品の開発より、基本商品を見直して強くする時代になっています。

 という文章がある。確かにそうだと思う。(下線は私による。これ以降もそう)
 だから、基本商品の作り方をみっちり教えてくれるのだろう、と想像するのだけども......

 ごめん、これ↓じゃあ、私、わからんかった。prz

キャベツと生地の混ぜ方

キャベツを千切りにし、生地も柔らかく改良しました。ですから、混ぜ方もこれに合わせた混ぜ方をしなくてはなりません。従来通りの混ぜ方ではぺったんこになります。十分な練習が必要な技です。


上の図の順で具材をカップに入れます。生地と卵は焼く直前に合わせます。混ぜるスプーンはティースプーン。まず、スプーンで卵の黄身を突いて、次に混ぜる動作に移ります。



スプーンの裏で押していく混ぜ方。
スプーンの裏でカップの下へキャベツを押していきます。3~4回押したら、スプーンを時計回りに回転させ、このとき同時に左手に持ったカップを右に回転させます。この動作を繰り返します。
キャベツを下から上に回転させます。キャベツに付いたゆるい生地がキャベツの隙間をしたたり落ちるのを利用して混ぜるのです。キャベツの千切りの間の空間は残しつつ、1本1本に生地でコーティングするようにイメージして混ぜましょう。

下からすくい上げて混ぜてはダメ。
終始一貫押して混ぜる。
下から生地をすくって畳み込むように混ぜると、キャベツの千切りの間の空間が生地で埋まってしまいます。それでは千切りを使う意味も、柔らかい生地を使う意味の無くなります。終始一貫して、下からキャベツを押し上げて混ぜます。

こぼれるのは気にしない。
多少こぼれ落ちるのは気にせず、スプーンの裏で押して回転、押して回転。カップの中のキャベツ1本1本に生地がからまったら混ぜる作業は終了です。混ぜるのに時間がかかっては商売になりませんので、1分以内できちんと混ぜられれば合格です。

 ここで紹介されているメニューは著者が試行錯誤して完成したもので、一般的な作り方とは少し違う独自のアレンジを施しているものも少なくない。例えばお好み焼きではキャベツをみじん切りが一般的なところを千切りにしてみたり、生地に牛乳を入れてみたり。だから作り方もそのアレンジ具合に合わせねばならず、少しツブシの気かなさを感じる。
 そしてもしこのやり方をするなら、このやり方は他の本にも載ってないし、(この人のレシピでやるとしたら)ちゃんとマスターしなくちゃいけないのだろう。というか、これをマスターすることが技術習得のかなり大きなキモになるはずなのけど......。

 写真もあるし文章もあるのに、私にゃさっぱりわからんのです。どうやって混ぜるのか。「スプーンの裏で押して回転、押して回転」???

 この↑図解で、みなさんはわかるのだろうか?
 いや、その可能性は大いにあると思うんだ。私がどうも飲み込めていないだけで。

 正直、昔、「大笑い」というエントリで紹介した、「モスバーガーのきれいな食い方教えれ」を思い出したよ。

 まあほんとにこれは、私がわからんだけかも。
 だからあまり強くは主張すまい。(^O^)

 誰か「なに言ってんだ、こういうことだよ」という人がいたら、是非教えてほしい。いやほんと。お願い。m(_ _)m

 あるいはお好み焼きのひっくり返し方。
 特に広島風お好み焼きのひっくり返し方は難しく、それなりの技術が必要なわけで、その「技術」を教えてほしいと思う人は多いと思うのだけども、この部分は、

コテ2本を使って返します。

 の1文でさらりと終わり。
 そ、それは「技術教本」の記述としては淡白すぎないかッ。(^O^)
 もうちょっと詳しい説明がいただけないものか。

 で、話は変わる。
 こういう本の場合、地ソースマニア(^O^)な私としてはもちろんソースについての説明に期待してしまうわけだ。
 お好み焼やたこ焼きという食べ物の「味」の中で、ソースが占める割合が非常に大きい(あるいは少なくとも「無視できないくらいの比重がある」)ことは、何も私のような地ソース偏愛者でなくとも誰もが認めるところだろう。
 それにお好み焼とたこ焼を併売するような店ではそれぞれに合わせたソースが必要で、まさか同じソースを塗るわけにもいかない(たこ焼はお好み焼ほどソースに粘度が必要ないし、甘い)から、店でどうアレンジすればいいのか、あるいは別々に専用のものを購入した方がいいのかなど、読者が知りたいことはたくさんあるはずだ。

 しかしなぜか、この本はソースについてほとんど触れない。

 本題の「作り方」の中では、生地の作り方、キャベツの切り方、両者の混ぜ方、そして焼き方(や間違った作り方)......と解説してくれるのだが、ソースについてだけ、まともな作り方(あるいはブレンドの仕方)についての言及がない。

 いぶかしみながら読み進めると、後半の「成功開業法」の最後のページにちょろりとこんな記述があるのに気がつく。

 お好み焼店・たこ焼店は、これまで見てきたようにローコストで開業できます。しかし、お金をかけなくてはならないところはあります。それは「味」の部分です。一番大切なことですが、あえて最後に解説します。
 これからのお好み焼店・たこ焼店は新しい考え方で商売をしないと勝ち残れません。そのことをよく理解してもらった上で、新しい時代の「売れる味」のことを理解してもらいたいと思います。
 セルフサービスの店でも、おいしくないと繁盛はできない時代です。小麦粉に材料を混ぜて焼く単純なお好み焼でも、差別化のためにソースはこだわりたいものです。26ページで解説しているように、94度Cのお好み焼の焼きたてに塗ってちょうどよくなる仕上がりのソースがベストです。既成のソースにトマトピューレやブイヨンを足して炊いて、少し蒸発しておいしくなるソースづくりをするのが店の味を作ることになります。その手間を省くために、そういう仕上げをしたソースを購入します。

 ええええええッ???

 普通、ここで、「店の味を作る」ために「既成のソースにトマトピューレやブイヨンを足して炊いて、少し蒸発しておいしくなるソースづくりをする」やり方を具体的に解説するんじゃないの? いいの??? いや、少なくともその「手間」をちゃんと紹介した上で、「そのコスト的な問題を加味した上で『そういう仕上げをしたソースを購入』することをお勧めする」というのならわかるのよ。筋として。それを、「店の味を作る」「こだわりたい」とまで言っているこの作業を、「手間を省くために、......購入します」とあっさり片付けられたんじゃあ、読んでる方としては納得いかないよ。

 なんだそりゃ?

 しかしこの謎は、ちゃんと読んでれば解決する。

 お好み焼の作り方を紹介するところで、「ソース・マヨネーズの塗り方」というセクションがある。これはもちろんソースの作り方ではなく、文字通り「塗り方」を解説している。といってもソースについては書いてることは1つだけで、「お好み焼は側面から食べ始めるのだから、ソースは側面にも塗れ」ということなんだけど。

 そしてそのページには、「売れるお好み焼ソースとは」という囲み記事がある(↑の記事で「26ページで解説しているように、94度Cのお好み焼の......」とあるのはこの文章のこと)。このあたりで「ソースの作り方」への言及が欲しいところだが、ここに書かれているのは、

売れるお好み焼ソースとは。

焼きたてのお好み焼きの表面は90度C以上あります。そこにソースを塗れば蒸発もします。この蒸発や加熱を考えた、焼きたてのお好み焼に塗っておいしくなる仕上がりのお好み焼ソースが最適です。私はこの発想でオリジナルのお好み焼ソースを開発しました。

 この写真は著者の経営する会社のラベルが貼られたお好み焼ソースだ。

 ああ、なるほどね。

 ウチのを買えと。 i||!_| ̄|○i||!

 ほほぅ。

 なんかもう、ガッカリですよ。
 それでいろんなメニューの「作り方」を読み返すと、ああなるほど。



豚玉の材料

 「お好み焼ソース」「お好み焼ホワイトソース」は、この人の会社の製品だ(「お好み焼ホワイトソース」とは、この会社のマヨネーズの商品名)。

 なぁんだ。
 売れるお好み焼ソースとは、ウチのだと。

 といっても別にこのソースの作り方が紹介されてるわけでもない。この人の会社から買わないといけない。

 著者の経営する会社のサイトを見ると、「39年の味!! こだわりのソースと粉!」とある。やっぱりそういうことなのね。(^^; コンサル料と、その後の資材納入あたりで稼ぐビジネスモデルなのかな。

 つまらん。(商売が、ではなく読者としてね)

#粉についても自分の開発したミックス粉を紹介しているが、こちらについては、
お好み焼きミックス粉を使わない場合は、薄力粉にべーキングパウダー(薄力粉1kgに対して40g)、塩(薄力粉1kgに対して25~30g)、旨味調味料。薄力粉(1kgに対して40g)を混ぜて作ります。みりんを好みで80~100cc入れてもいいでしょう。ただ、粉の配合から作業をしなくてはならないとすると、急に生地が足りなくなったときも、1kg以下で少しだけ生地を作り足したいときも、かなり面倒なことになります。ミックス粉を使うのは作業効率を高める上でも役に立ちます。いま、人気を呼ぶお好み焼きミックス粉のポイントは「あっさり味」です
としたうえで紹介しているので、一応「自作」の余地を残している。やっぱりこちらの方がありがたいよね。
 
 
 他にこの本でソースについて言及されているのは、焼きそばの作り方を解説しているところ。
 これは「なるほど」と思った。

 焼そばは、とんかつソースとウスターソースを合わせて使います。このとき、ウスターソースの使い方が重要なポイントです。
 ウスターソースには、ツンとくる辛味があります。その辛味が残っていると、一口食べてむせかえることがあります。そこで、ウスターソースは鉄板に落として、ジューッと加熱して辛味を飛ばして麺とからめます。とんかつソースを麺の中央にのせ、その周りにウスターソースをかけて、麺の間を通して鉄板に落とします。とんかつソースの上にウスターソースをたらしても下には落ちません。そういう意味で、焼そばソースに私はあまり賛成しません。とんかつソースとウスターソースがブレンドしてあって便利なようですが、ウスターソースの辛味の部分が残ってしまうからです。
 
 勉強になる。

 次回にもずく。

突然食いたくなったものリスト:

  • ネーブルオレンジ

本日のBGM:
夏は過ぎて /チャゲ&飛鳥






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ふんわりサクサク(ふっくら)の生地、モッチリ目の詰まった生地、どちらがお好み?
玉子が効いたフンワリ(空洞が多数ある)生地+甘めのソースを支持しますけれど (でも味を支配するのは、紅生姜や粉鰹ちょびっと鯖だったりして、流行りの緩いマヨネーズは嫌いです)
 
今日、職場で、マグロの解体ショーが催されたんですが、婦女子達それは、もぉ嬉々として、バクバク食してました
観せるパフォーマンスと、美味しさは直結しているのかもしれません
それで脂身と甘さが、加算されたらもぅ無敵なのかも

>ぴっけさん
 
私はふわふわの方がいいですね。ふわふわの方がいいというよりはサクサクでない方というべきでしょうか。
 
>流行りの緩いマヨネーズ
 
この本の中に、こういう記述がありますが、このことでしょうね。
 

マヨネーズはマイルドでお好み焼きソースと合わせてもくどくならないマヨネーズ風ソースを私は使っています。マヨネーズを使うなら、そのまま使うよりマヨネーズを水でのばして使う方がいいでしょう。

一般的なマヨネーズは油分が多くてお好み焼きソースと混ざりません。ソース+マヨネーズはくどくなるので嫌う人もいます。油分を抑えてマイルドなマヨネーズが向いています。

>マグロの解体ショー……観せるパフォーマンスと、美味しさは直結しているのかもしれません
 
ああ、きっとそうでしょうね。
同じ果物や野菜でも、自分で育てたり収穫したりすると余計おいしいですし、自分で調理したり、あるいは調理するのを目の当たりにしたり、その食べ物と「関わる」ことは、まさに「美味しさに直結」するんだろうなと思います。結局食は、データでなく「体験」なんですよね。

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