この店について書こうかどうか非常に迷ったが......。
ひょっとしたら来年にはなくなってるかもしれないので。

あほいち@浪速区
幹線道路に面してそこそこ目立ち、しかもコインパーキングの真ん前という好立地?のつけ麺屋。
ミナミから26号線を南下する時にはイヤでも目に入るだろう。
店外に掲げられている、
「魚介とんこつ極太つけ麺」
「つけ麺類の麺の量選べます。150g 200g 300g 全て同額」
との表示も目立つ。
つけ麺メインの店なのね。
5月にできた新店だそうだ。
この貼紙を見てつけ麺好きの私はどうしても心ときめいてしまう......というわけでもなく、そこはかとなく感じてしまう漂うイヤ~な予感。
いや、つけ麺専門店自体は何の問題もないんだけどもね。そうですか「豚骨魚介」「極太麺」「麺の量選べます」ですか。へえ。流行りですねえ。
今さらこういうのが新店で現れると、どうしても headless ではないかという懸念を感じてしまう。いやもちろん入ってみなくては判らないが。
......と、少しの警戒心を持ちながら入ってみる。食券制。おお。
つけ麺(¥680)の食券を購入し、店員に渡す際に「300g」と指定した。
待っている間、店内を観察する。
新店らしく店内はそれなりにきれい。内装は黒を基調にしておりどうも居抜きっぽい。ネットで少し見たところ、どうもここに以前あった店(玄武)と同じ人がやっているようだから、それは居抜きというのもちょっと違うのかな。玄武には入ったことがないからわからないけど。
入口を抜けて突き当たりに見える壁には白い布が掲げてあり、筆で店の心意気みたいなことが書かれている。
さて、突然だがここで問題。
↓の中の○○には何が入るでしょう?

あほ壱
| あほ壱 「あほ」ほど○○スープ 「あほ」ほど○○麺 「あほ」ほど○○作る これ僕らの思いです |
途中でヒントもあるので、考えてみて。
で、店の話。
この時は店員2人で店を回していた。1人が厨房にいて1人はレジのところにずっといる(厨房にいる人に説教してた)。カウンターの前には結構背の高い衝立があって、私は最初その衝立の向こう側は全部厨房だと思ったのだが、奥を覗いてみると、厨房だと思っていたスペースの2/3はテーブル席で、厨房はずいぶん狭くてびっくりした。
この狭さでは忙しい時でも2人は入れないんじゃないかなあ。
席の目の前にはメニュー表(最初に食券を買わされるのでこのメニューにはどういう意味があるのかよくわからないけど、ある)と貼紙がある。貼紙には「つけ麺は極太麺の為、ゆで時間が最低7~10分かかります」という断り書き。そうですか。了解。
実際には6分30秒の茹で時間の後、水で締めた麺、つけ汁の順番で出てきた。

つけ麺大(¥680)@あほいち
具はネギ、チャーシュー、海苔。
麺は確かに太くはあるが、かなり薄い平麺。これを「極太麺」と言っていいのかなぁ。全粒粉が少し混ぜてあって、麺につぶつぶとした色が出ている。
つけ汁は豚骨魚介だそうだ。魚粉が小さじ一杯ほどつけ汁に浮かべた海苔の上に盛られ、「削り粉を溶かしながら食べて下さい」と説明された。甘さ・酸味はあまりなく、塩味が強い。


いやはや。
参ったなあ。
困るわ。これは。
麺が先に運ばれたのだけど、真っ先に目に入ったのが、これ。

カラカラに乾いたネギ
次に目に入ったのが、チャーシュー。

脂肪が真っ白のチャーシュー
麺は少しくらいは期待できるかな?
いや、ダメだった......。prz
「粘土のよう」と表現したらいいだろうか。この歯応えの気持ち悪さはコシとは違うし、茹で不足からでもないと思う。
恐らく製麺所からの麺を使っていると思うが、全粒粉を入れることで上がったコストを増量剤などで補っているのではなかろうか。いやこれは勝手な推測。恐らく購入ロットから考えてオリジナル麺じゃないと思うので、全粒粉入り麺の中で一番安い麺なんじゃないかな。そう思っちゃうくらい変な麺だった。
しかしこの店の姿勢を余すところなく示していたのはやはりチャーシューだ。
盛り付けを見た時点で予想はついたが、食べてみたらこれがまたヒドイ。
スーパーで売ってる日配品のラーメンがあるでしょ。生麺と袋に入った生のスープと真空パックされたチャーシュー、メンマ、ネギがセットになったやつ。あのチャーシューの味だ。自分でああいうものが作れるとも(その必要性があるとも)思えないし、これも業者から買っているのだろう。
で、チャーシューを(自分のところで作らず)業者から買っているのなら、あの乾いたのネギだってカットしたものを買ってるのかもしれない。
......と考えると、あ、そうか。厨房がこれだけ小さい理由がわかった。
この店は全ての食材を出来合いのもので間に合わせてるのね。
ひょっとしたら厨房には包丁すらないかもしれん。
少なくともこの「つけ麺」というメニューの中で包丁が必要な場面はネギとチャーシューを切るところだが、両方カット済みの既製品なのだったら、厨房でやることは麺茹でと盛りつけだけだ。
そうすると作業スペースも小さくてすむ。
こうなるとつけ汁だけ丁寧に自作しているとも考えにくく、おそらく業者による冷凍か濃縮ものだろう。となれば実質的に必要な厨房スペースはゆで麺器と盛りつけ台のみということになる。
これなら狭くても大丈夫なわけだ。
きっと1つの食材商社がネギもチャーシューも麺もスープの素も餃子も、全部卸してるんだろうな。あるいは店舗プロデュースあたりまでやっちゃってるかもしれない。
うむ。
いや、たとえ既製品であってもまだその中で材料を厳選したりもできるだろうし、実際に盛りつける段階で「おいしく食べてもらおう」という心意気が店にあればもう少し何とかなるかとも思うのだ。
しかし。
カラッカラのネギと真っ白なチャーシューに、そういう心意気はまったく伺えない。
食材が乾かないような保存の仕方はいくらでもあると思う。さすがに恒温高湿庫があるとは思えないが、普通の冷蔵庫しかなくても少し気を使えばそのくらい何とかなるはず。しかしそれをする気もない。パッケージを開封した状態でハダカで冷蔵庫に入れているんじゃないか。
そしてもしネギがカラカラになったとしても、せめて最初からつけ汁に入れて出せば誤魔化せもするだろう。チャーシューも同じこと。しかしそれすらしない。
つまり、カラカラのネギ、真っ白なチャーシュー(しかも出来合いの薄っぺらいマズいもの)を客に出して平気なのだ。「少しでもおいしく食べてもらおう」という気持ちがあるとは到底思えない。
経営の中で「おいしくなるがコストは上がる」「コストは下がるが味も落ちる」の2つの選択肢があった場合、この店はどの場面でも後者を選ぶだろう。そういう店でウマいものが出てくるなんて思わない方がいい。
店の奥の壁にある布をもう一度、掲げておこう。

あほ壱の心意気
だそうだよ。
いや、あほというより、店主が客をバカにしてるんだな。
恐らくこの店の店主はつけ麺が好きじゃないのだろう。
自分が好きじゃないからマズいかどうか判断ができないのだ。
「自分にはよくわからんが、こういうの出しとけば喜ぶ人は喜ぶんじゃない?」
とか思ってるんだよ。
つまりこの人にとってつけ麺はあくまでも「商材」に過ぎないのだ。
#それ自体は商売なんだから非難には値しないけどね。同じ「商材」と割り切ってる店でも、つぼやくらいのものを出せばそれなりにファンもつくのだろうけどな。(私は好きじゃないけど)
で、「安い既製品を仕入れてきて、人を安く使って回させればいい」と思っているのだろう。そこまで既製品で賄えば光熱費も厨房機器費も人件費も低く抑えることができる。店が食券販売機を導入する理由はいくつかあるけども、「バイトにカネを扱わせない」というのもその1つだ。食券販売機にもピンキリがあって、この店に置かれていたのは1万円札まで対応できる高級品だ。つまり1万円しか持ってない客への両替の必要性すら残さない。カネ管理はあくまでもこの機械で完結するという強い意志が感じられる。(^O^) 安い原材料、安い人件費、カネをバイトに任せるリスク回避......。このあたり、「儲かるビジネスモデル」なんでしょうかね。
今流行の「豚骨魚介+魚粉」「麺は大盛りでも同じ値段」「全粒粉入り極太麺」で680円、そしてこの立地なら客は喜んで食うと思ってるんだよ。この程度のつけ麺を。
さて、ほんとにそうか。
いくら「流行」とはいえ、ほんとに客はこの程度のつけ麺を喜んで食うのか。
「コストパフォーマンス最高!」とか言って。
この店がこのまんまで来年まで持つかどうかを見届けたい。
その結果で店と客のどっちが「あほいち」なのかがわかるだろう。
......きっとだけど、店の方もこれをこのままやろうとは思ってないと思うんだ。
最初に書いたとおり、店内にある

あほ壱の心意気
こいつ↑は、白い布に筆で書かれて壁に貼られているだけ。
(訂正:これ、筆で書かれてるんじゃないね。毛筆フォントだ)
この布さえ外せばここがあほいちという店であった痕跡は全くなくなってしまう。つまり、この布を外せばすぐに次の店が始められるってわけ。そう考えると布に書いて画鋲で壁に貼り付けるなんて、みっともないやり方だよね。腰を据えてやろうとしているとは思えない。
空きテナントに突然入ってきて年寄り相手に催眠商法みたいま商売をしてあっという間に去っていく健康器具屋を思い出すよ。
というわけで、どこをとってもウマいものが出てくる理由がないんだよ、ここは。
立地はいいのだしちゃんとした店を出せばちゃんと評価してもらえると思うんだよ。それが結果的にはいい商売にもつながるんだろう。
是非自らの商材とちゃんと向き合って、近江商人⇒浪速商人の美風である「三方よし」に立ち返ってほしい。
で、冒頭の問題の答えだけども。
|
あほ壱 「あほ」ほど○○スープ 「あほ」ほど○○麺 「あほ」ほど○○作る これ僕らの思いです |
何が入りますかね。ほんとは。
回答は是非、あなたがこの店で食べてから埋めていただきたい。
あーあ。書いちゃった。
この店で一番ウマかったのは、スープ割り。
キツい書き方しちゃったけれど、もちろん私が大いなる誤解をしている可能性もあります。「それは違うよ」というところがあれば指摘して下さい。間違ってればすぐ訂正します。
突然食いたくなったものリスト:
- ピザトースト&ドクターペッパー
本日のBGM:
Don't Ever Wanna Lose Ya /NEW ENGLAND
確かこのアルバムは昔、現在『BURRN!』誌にいる藤木昌生氏にダビングしてもらったのだった。(^O^) いいバンドだよなあ。

>>「あほ」ほど○○
これは「○○」が間違っているのではなくて、各行の下に漏れなく「に拘る」が省略されているのではないでしょうか。そして、「あほほど」と謂うのは勿論「あほみたいに拘ってます」と謂う意味ではなく、「そんなもんに拘るのはあほや」と謂う意味が込められているのでしょう(笑)。
「これ僕らの思いです」…うーむ、挑発的な(笑)。そうすると、「あほ壱」と謂うのはさしづめ「あほから壱抜け」の略なのでしょうか。
>黒猫亭さん
「あほ」な奴ほど○○スープにこだわる
「あほ」な奴ほど○○麺にこだわる
「あほ」な奴ほど○○作ることにこだわる
とでもいうんですかっっっ!
なんてヒドいッ!
ひどすぎる~~~
>hietaroさん
大阪弁で「あほほど」と謂う言い回しが、「あほらしいほど」「呆れるくらい」から転じて「感心するくらい物凄く」と謂う肯定的なニュアンスでも使われていることを利用した、巧妙なレトリックなのではないかと(笑)。
いやしかし、ただ手抜きで不味いだけならそんなに腹は立たないのに、口先だけで凄さを強調するやり口が、何だかとっても厭らしく感じますね。努力や実力を伴わないビッグマウスほど不愉快なものはありません。
>黒猫亭さん
ネット上を検索する限りそれなりに気に入った人は多いようですので、結局は「人それぞれ」で収斂する問題なんでしょうね。
くうう。