言葉がないことが
最近のテレビやニュースをきっかけにふと思ったこと。
きっと誰でも考えるようなことなんだと思うけど、ちょっと自分の中で整理するために。
今日、
・日銀総裁、福井氏続投を打診=民主は難色
・福井氏か武藤氏の続投打診=日銀正副総裁で与党-鳩山氏明かす
なんてニュースが流れた。これ聞いてて「あれれ?」と思った。
「続投」って、きっと野球用語だよね。
にも関わらず、普通にニュースでも使われている。
何で?
しかもかなり多くのメディアがこの言葉を使っている。
きっと、他に適切な言葉が見あたらないんだろうな。
だから野球用語だろうが何だろうが使わざるを得ないと。
更に先日見たテレビ。
『4姉妹探偵団』。最終回らしいが、初めて見た。私は昔から夏帆のおでこのシワが気になって仕方がない。いやそれはいい。この番組は単なるきっかけ。
この番組で、「役不足」って言葉の誤用が話題になってた。
「役不足」の本来の意味は、「能力に対して、役目が軽すぎること」。渡哲也に通行人やらせるような感じか。それが、「役割に対して実力が不足している」という意味で使われることが多い。
同じようによくある誤用は、「確信犯」という言葉。本来は「道徳的・宗教的・政治的な信念に基づき、自らの行為を正しいと信じてなされる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯など」という意味だそうだ。よく誤用されるのは、「その行為が犯罪だとわかっていて、それでもあえてやる」といった意味だと思う。
このあたりの「誤用」は、あえて言い募ってみるのも今さらな感じがあるほど頻繁にあり、とはいえそれをスルーするとまたアレだし......というなかなか微妙な言葉になりつつある。
で、何が言いたいかというと。
「続投」にしろ、「役不足」「確信犯」にしろ、どうして使われるかというと、その、「伝えたい意味を表す適切な言葉が他にないから」に他ならない。
しかもこれほど大規模?に使われるということは、これはその人個人のボキャブラリーの問題を超えて、日本語という言語のボキャブラリーの問題なんだろうと。
表したい意味があるのに言葉がないという事態。他に適切な言葉がないのだから、「誤用」(あるいは野球用語みたいな専門用語から流用)してでも使わざるを得ない、というのが実情であって、さて、これをあえてネガティブに捉える必要はあるのかなあ、とか思ったり。
少なくともこれを「日本語の乱れ」という文脈で捉える人、例えば「誤用」が気になる人は、他の適切な言葉を作る(あるいは探してくる)運動をするのが一番ベストな対応なんだと思う。
「それは間違ってるから、ほら、これを使い給え」とね。(^O^)
「意味」というのは、そのくっつく言葉を常に探してるもんだと思うんだよね。オゾンみたいに。(^O^)
「catch 22」って言葉がある。
言葉としてのキャッチ=22英語圏では、ジレンマ、パラドキシカルな状況を、「キャッチ=22」「キャッチ=22的状況」と呼ぶことがあり、いくつかの辞書では慣用句のひとつとしている。
これは、本小説全体のムードと併せ、特に小説中の軍規22項の運用(例えば、狂気に陥ったものは自ら請願すれば除隊できる。ただし、自分の狂気を意識できる程度ではまだ狂っているとは認められない、としたもの)から来ている。
とある。
これも同じことだろう。
こういう状況を一言で表す言葉がなかったから、この言葉は小説の題名でありながら慣用句として流通しているわけだ。
ん?
いや、だから、その、頭の整理なんだってば。(^^;
突然食いたくなったものリスト:
- 汁粉
本日のBGM:
Paraiso /野宮真貴
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初めて書き込みさせていただきます。
数日前に貴ブログに出会い、楽しく読ませていただいております。
少し思ったことを。
3つの例を挙げておられますが、これはそれぞれに性格が違う用例かと。
「続投」は、例えば「再任」とかを使ってもよいと考えられますが、それを「続投」という語句を使うのは、意味的に相手に十分伝わることと、よく普及した語であるから使用しやすいという背景があるものと思います。この言葉については誤用は関係ありませんね。
「役不足」については、これは現時点では誤用というべきだと考えますが、それは、実力が不足している場合は「力不足」という語がありますし、本来の意味と逆の意味で使用されることが広まると、伝達に支障が生じる危険性が高まるためです。「役不足」の使い方を誤ると、礼儀上好ましくない影響が出る危険が大きいので、何とか広まらずに踏みとどまって欲しく思います。
最後の「確信犯」は一番難しいですね。本来の意味と誤用の意味が対立せず、隣接しているような位置にあり、それでも
別概念にしておかないとやっぱり不便なわけで。無理にあてはめると「いわゆる確信犯的行動」か、でもちょっと違うな。
誤用が困るのは、言葉の乱れ云々という観点からではなく、伝達に支障を生じさせるからです。言語経験を積んで、意味を正しく受け止めるように心がけないと、思わぬ誤解や失敗をする恐れが高まる、ということを多くに人に理解しておいてもらいたいわけです。
>オキナタケさん
こんにちは。
お名前はあちこちで拝見しております。m(_ _)m
>3つの例を挙げておられますが、これはそれぞれに性格が違う用例かと。
ああ、確かにその通りですね。
ちょっと大ざっぱに括りすぎたかもしれません。
この3つの例の共通点は、「誤用」というよりは、「その場で使うのがふさわしくないにも拘わらず、選ばれてしまう」という点だと思います。「誤用」よりは緩い括りですね。
観点は、なぜその言葉が選ばれてしまうか、です。
「続投」と「再任」は確かに交換可能かもしれませんが、おそらく若干のニュアンスの違いを記者が感じ取って、より意味の通じる語を選んだのだと思います。
>誤用が困るのは、言葉の乱れ云々という観点からではなく、伝達に支障を生じさせるからです。
仰るとおりですね。言葉とは、そもそもそういうものですもんね。
私も誤用が仕方ないとかいって開き直る(^O^)ような意図はないんです。
ある言葉が「その場で使うのが必ずしもふさわしくないにも拘わらず、選ばれてしま」わない=場にふさわしい適切な言葉が使われるためには、その表したい意味に見合った言葉がちゃんと存在しないといかんのだろうなあ、ということです。それを提示してあげられれば、これらの問題?は起こらないだろうに、と思うわけです。
(誤用の話でいえば、「誤用だ」と指摘するだけではこの手の誤用がなくならないのは既に経験的にわかってしまっているわけで、ではそれをなくすにはどうすればいいのだろうということです)
だから、結局はこういった言葉の「伝達に支障を生じさせ」ないための具体的方法はどういうもんか、というところを論点にしていると思うのですが、どうでしょうか。